椿・土佐有楽 寺田寅彦邸・牧野植物園・我が家[1] 我が家 の椿・土佐有楽(とさうらく) 写真撮影 --- 2025.3.3, 3.5, 3.13
このように育ててみました。
樹齢 --- 6年 環境 --- 鉢植えを、 2月中旬に地植えにした。 日当り - 半日陰 土 ----- 鹿沼土40:赤玉土30:腐葉土3 肥料 --- 化成肥料少し 挿し木2年目の4年前に1度 水 ----- やや多目 分類 --- ツバキ科ツバキ属 原産地 - 日本、中国、東南アジア 特性 --- 半日陰、水はけ を好む。 花言葉 - 紅色:気取らない優美、白:申し分のない魅力 花の様子・備考 --- 我が家 ピンク色の椿 土佐有楽一重の柔らかいピンク色の花です。約6年前に挿し木したのが、 明くる年に開花し、 その次の年は、花が付きませんでした。 そのまた次の一昨年、そして昨年今年と 開花してくれました。 昨年は20個ほど沢山の花が付き、 2月上旬に開花し始めましたが、 今年は3月1日の開花となり、 昨年よりもほぼ丁度1ヶ月の遅い咲き始め となりました。 今年は昨年と打って変わって、 1月から2月下旬まで、寒い日が続いたせいで、 遅い開花となったのでしょう。 今年は、昨年掲載したこの椿を、 もう少し花内部の蕊(しべ)等にこだわって 掲載してみました。 各写真にそれらの様子の記述を添えてあります。 そんな様子から、この椿 [土佐有楽(とさうらく)] は、 (1) 花弁が5枚 (2) 雄蕊(おしべ)は多数で筒状に集合している。 (3) 花弁化している萼(がく)は2枚。 (4) 雌蕊(めしべ)は1本で、 その柱頭(ちゅうとう)は3裂した後それぞれ2裂し、 合計6裂となっている。 (5) 子房(しぼう)は上部に少し毛がある。 なんてことが分かりました。 我が家のこの椿は、昨年も紹介しましたが、 下記のような生い立ちの椿です。 即ち、 高知市の寺田虎彦邸に植わっている椿の 枝を挿し木して育てた木のその枝をもらって 挿し木して育ったとその木の枝だだと言われて頂いた その小さな枝を挿し木して根付いたものです。 ややこしいですが、挿し木の挿し木の挿し木です。 寺田虎彦が好んでいた椿の種類なのかどうかは 分かりませんが、寅彦のお父さんは好んでいたことのようです。 おとなしい桃色の素晴らしい花です。 我が家のこの椿は、 寺田寅彦邸にある椿「土佐有楽(とさうらく)」 と同じ品種だろうと思います。
写真1 我が家の土佐有楽 咲き始め
撮影2025.3.3 我が家 ![]()
写真2 我が家の土佐有楽 拡大撮影
花弁に付いている白く丸い数個のものは この上で咲いている白梅から落ちてきた花びら。 周囲の土の上の多数の小さく見える白丸もそれ。 撮影2025.3.3 我が家 ![]()
写真3 雄蕊に囲まれた中心部の雌蕊
雄蕊は多数、 雌蕊は1個でその先端の柱頭は6~7裂 後に6裂だと解った(写真4, 6, 7, 8 参照)。 撮影2025.3.3 我が家 ![]()
写真4 雌蕊を拡大観察
雌蕊の先端・柱頭は6裂 撮影2025.3.3 我が家 ![]()
写真5 落花(落ちた花)
花弁と雄蕊がくっつき合ったまま 落花しました。 そういう落花の仕方は椿特有のようです。 撮影2025.3.5 我が家 ![]()
写真6 落花後に残った萼と雌蕊
花(ここでは花弁と雄蕊)は落ちても、 萼片と雌蕊は落ちないで残っています。 撮影2025.3.5 我が家 ![]()
写真7 落花後に残った雌蕊
柱頭は6裂 花柱の形からして、柱頭の分裂は、 まず3裂した後、各2裂して、計6裂。 撮影2025.3.5 我が家 ![]()
写真8 落花後に残った雌蕊
柱頭は、3裂した後、各2裂して、計6裂の様子。 撮影2025.3.5 我が家 ![]()
写真9 2番目に開花した花
落花前の雌蕊とそれを囲む 花弁と雄蕊です。 この2番目の花も1番目と同じく、柱頭は6裂。 3裂後、各2裂して6裂になった様子も覗える。 撮影2025.3.13 我が家 ![]()
写真10 花を分解
雌蕊は木に付いたままで分解していません。 萼片は手で抜き取りました。 雌蕊以外の花の部分を分解してみました。 花弁は5枚、萼片は2枚、 雄蕊は多数で筒状となっている。 撮影2025.3.5 我が家 ![]() [2] 寺田寅彦邸 の椿「土佐有楽」写真撮影 --- 2025.3.17右側に、寺田寅彦邸で撮影した「椿・土佐有楽」を掲載しました。 薄ピンク色のおとなしく品のある花です。 写真13では、柱頭がまず3裂して、 その後其れ其れが2裂している様子が窺われます。 地表に落花した花には、雌蕊の抜け穴がある(写真16)のも面白い景色です。 裏庭の土佐有楽は表庭の枝を挿し木して育てた木だそうです。 案内係の方からおしえて頂けました。 その木では、びっしりと満開のように開花していました。 寺田寅彦邸の「土佐有楽」椿 の由来 寅彦のお父さんが東京から持ち帰った椿「有楽(うらく)」 であると言われていました。 しかし、持ち帰った花「有楽」と、現在寅彦邸にある花とは 花の色や形、雰囲気はよく似ているが、寅彦邸の花は 「有楽」よりもやや大きな花であるようで、 「有楽」と呼ばず、「土佐有楽(とさうらく)」と呼んでいる ようです。 現在も、寺田寅彦邸の庭中央辺りと裏庭に健在です。 「有楽」という花名の由来有楽の花名の由来のことですが、それは、織田信長の頃にさかのぼります。 茶人千利休の門下であった、信長の弟である織田有楽斎 (織田長益)がこの花を大変好んでいたことにより、 彼の名に因んで名付けられた椿花なのだそうです。 花や茶の湯に親しんでいた信長にとっても喜ばしい 命名であったことでしょう。 寅彦の父寺田利正は、多くの趣味を持っていたようですが、 茶道にも精通していたということもあり、 茶花にも大変向くこの花を好んだのでしょう。 高知への帰郷(明治15年1月)の際、 この椿を持ち帰ったというのも十分うなずけます。
写真11 寺田寅彦邸で撮影
我が家の土佐有楽と全く同じ感じ。 当たり前だろうが。 撮影2025.3.17 寺田寅彦邸 ![]()
写真12 寺田寅彦邸に植えられた最初の土佐有楽
右端の方から左端の方へ伸びている木 かなり老木なのでなのか花数は少ない。 ピンク色の小さく写っている花。 撮影2025.3.17 寺田寅彦邸 ![]()
写真13 雌蕊を拡大
雌蕊の柱頭は6裂、我が家のと同じだ(写真4, 7, 8, 9 参照)。 撮影2025.3.17 寺田寅彦邸 ![]()
写真14 地表に落花している花1
花弁と雄蕊集合体筒 の合体状態で落花。 雌蕊と萼は落ちないで木枝に残っているのだ(写真6参照)。 撮影2025.3.17 寺田寅彦邸 ![]()
写真15 地表に落花している花2 蕊(しべ)部拡大
雌蕊が抜けて不在なのがよくわかる。 萼も雌蕊と一緒に木枝に残っている筈だ(写真6参照)。 そういう落花の仕方は椿特有のようです。 その様子、写真6 を参照ください。 撮影2025.3.17 寺田寅彦邸 ![]()
写真16 落花してうつ伏せになっている花
雌蕊がぬけた穴がある。 萼片も付いていない。 僕よりも先にここへ来た人が こんなに並べたのでしょうか?。 撮影2025.3.17 寺田寅彦邸 ![]() [3] 牧野植物園 の椿「土佐有楽」写真撮影 --- 2025.3.193月19日、牧野植物園にも、1本の大きな椿・土佐有楽に、 沢山の花が咲いていました。 植物園内の多くの場所で工事中でしたので、土佐有楽が見られるか 心配でしたが、そこまで大きな障害がなく行けました。 駐車場側の入り口から入り、本館の展示館中庭を通り越して、 別館のすこし向こうの庭を下った右端の辺りにあります。 右に掲載しましたように、種々の角度から写真を撮ってみました。 やはり、土佐有楽らしく薄ピンク色の落ち着いた健やかな花です。 雌蕊の柱頭は、我が家と寺田寅彦邸のそれらと同じく、 3列後、各2列、計6列でした。 雄蕊の集合体と花弁がくっ付いたものだけが落花するという、 椿特有の落花の仕方をしていました。 何はともあれ、いい花です。 牧野植物園の「土佐有楽」椿 の由来 寺田寅彦邸の椿の枝を、高知県立の牧野植物園でも、挿し木して、 今は、素晴らしい土佐有楽の花を毎年咲かせている ようです。 寺田寅彦邸で案内してくださった方からも、上記のことを教えて 頂けました。
写真M1 牧野植物園の土佐有楽
我が家と寺田寅彦邸の土佐有楽にそっくり 当たり前だろうけど。 撮影2025.3.19 高知県立牧野植物園にて。 ![]()
写真M2 牧野植物園の土佐有楽
沢山の花が咲いています。 10個程の落花がありました。 蕾みはまだ沢山付いていました。 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]()
写真M3 土佐有楽全体を撮影
高さは人の背丈の3倍ほどありそうです。 やや遠方からの撮影ですので 花は小さく写っています。 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]()
写真M4 蕊の部分を拡大撮影
雌蕊の先端・柱頭は6裂 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]()
写真M5 蕾(つぼみ)と
落花後に残った雌蕊と萼 雌蕊が左上に向かってしっかりと突き出ている。 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]()
写真M6 牧野植物園土佐有楽の掲示板
寺田寅彦邸の土佐有楽の枝を 挿し木したもの等のことが記述されている。 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]()
写真M7 落花した花(花弁と雄蕊集合体)
白い紙の上に乗せて撮影裂 花弁は5枚あった。 雌蕊の抜け穴もあった。 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]()
写真M8 落花後に残った雌蕊と子房と萼
白い紙を当てて撮影。 柱頭は、3裂した後、各2裂して、計6裂の様子 も覗える。 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]()
写真M9 雌蕊の柱頭を拡大撮影
柱頭は、3裂した後、各2裂して、計6裂している。 撮影2025.3.19 牧野植物園 ![]() |